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作品の表題
音聞天竺徳兵衛(おとにきくてんじくとくべえ)
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役名
天竺徳兵衛 (てんじくとくべえ)
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コマ絵
四世 尾上松助の 宗観
解説
四世鶴屋南北作。題材は、江戸幕府が鎖国政策をとる以前、天竺(インド)を巡った播州高砂の漁師・天竺徳兵衛の聞書に取材。その徳兵衛を日本国転覆をねらう謀反人に仕立て上げたスケールの大きなストーリー。歌舞伎化された舞台の見どころは、ケレン(仕掛けを使い奇抜さをねらった演出)にあった。なかでも、座頭(ざとう)徳市に変装した徳兵衛が本水(ほんみず・舞台上に実際の水を張った演出)の中を潜り抜けて長裃姿の上使に早替りする〈水中の早替り〉は、一子相伝の仕掛物とされた。明治の近代化の波を受けた後は、五代目・六代目菊五郎によって演出が洗練され、颯爽とした江戸っ子の風姿を見せるところに力点が置かれるようになり現代に伝わる。