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作品の表題
夕立雲斑甲横櫛 (ゆうだちぐも はらうのよこぐし)
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役名
きられおとみ(切られお富)
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コマ絵
初世 坂東家橘の 井筒与三郎
解説
『切られ与三』をアレンジした、いわゆる悪婆(毒婦)ものの代表作。幕末のデカダンスの特色がでている。赤間源左衛門(あかまげんざえもん)の妾だったお富は、井筒与三郎(いづつよさぶろう)との不倫が発覚して、75針も縫う傷を負わされ瀕死のところを、赤間の子分・蝙蝠(こうもり)の安蔵(やすぞう)に救われて夫婦になる。薩埵峠(さったとうげ)の一つ家に住むふたり。そこを通りかかった与三郎と再会、紛失した刀を買い戻すのに二百両が必要と聞き、お富は安蔵とともにゆすりに出掛ける。源左衛門は弥勒町で赤間屋という遊女屋を繁盛させている。ふたりは二百両をゆすり取る。その金を横取りしようとする安蔵を、お富は包丁で刺し殺し、与三郎のもとに急ぐのであった。