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作品の表題
其俤花鞘當(当) (そのおもかげはなのさやあて)
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役名
(名古屋)山三 (さんざ)
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コマ絵
九世 市川團十郎の 不破伴佐衛門
解説
桜満開の吉原仲之町。濡れ燕の羽織と小袖の名古屋山三(なごやさんざ)と、稲妻の模様の羽織着流しの不破伴左衛門(ふわばんざえもん)がやってくる。二人はすれ違い際に、互いの刀の鞘(さや)が当たったことから斬り合いになる。遊女・葛城(かつらぎ)をめぐってあわや血の雨が降らんとした時、引手茶屋の女房が中に入ってことなきを得るのであった。「恋のさやあて」のように、わずかのことをとがめて争うこと、つまらないことに意地をはることの語源がここにみられる。歌舞伎の様式美にあふれた場面で、『鞘当』と題した一幕物で演じられることが多い。