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作品の表題
四千両小判梅葉 (しせんりょうこばんのうめのは)
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役名
野州無宿富蔵
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コマ絵
三世 市川久蔵の 藤岡藤十郎
解説
安政年間(1854~60)に実在した江戸城御金蔵破りの事件を脚色。野州無宿の富蔵が旧知の旗本浪人・藤岡藤十郎と結んで、首尾よく城内から四千両を盗み出すが、やがて捕らえられて死罪になるストーリー。度胸のある富蔵と小心者の藤十郎の対照的な性格が巧みに描かれ、二人が出会う場面をはじめ、雪のなかを籠で送られる富蔵が妻子と名残を惜しむなど場面など、それぞれ見どころがある。とくに富蔵が伝馬町大牢(てんまちょうおおろう)の二番役となり、遺恨ある悪党・生馬(いきうま)の眼八(がんぱち)に仕返しする場面は、もと代言人であった興行師・田村成義の資料によって、幕末の大牢の風俗がリアルに描かれていて評判を呼んだ。