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作品の表題
一つ家
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役名
あだちが原(茨木)
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コマ絵
五世 尾上栄三郎の 賤女 茅(浅茅)
解説
用明天皇の時代、武蔵国花川戸に浅茅ヶ原と呼ばれる原野があった。宿泊できる場所はなく、旅人たちは唯一の人家に宿を借りていた。この家には老婆・茨木と若く美しい娘・浅茅が住んでいた。実は老婆は旅人の寝床を襲って石枕で頭を叩き割って殺害し、亡骸は近くの池に投げ捨て、奪った金品で生計を立てるという非道な鬼婆だった。娘はその行いを諌めていたが聞き入れられることはなかった。老婆が殺した旅人が999人に達したある日、ひとり旅の稚児が宿を借りる。老婆は躊躇することなく、寝床についた稚児の頭を石で叩き割ったが、その亡骸は自分の娘だった。娘は稚児に変装して身代わりとなり、自分の命をもって老婆の行いを咎めようとしていたのであった。