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作品の表題
奴凧廓春風 (やっこだこさとのはるかぜ)
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役名
奴凧
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コマ絵
尾上丑之助 舞鶴屋小伝三 尾上きく 同出入の倅三吉
解説
正月の風物でもある凧の一種「奴凧(やっこだこ)」を『曽我(そが)もの』の世界と結び付け、粋で洒脱な趣向で見せる三段返し(舞台が明るいまま、装置が三回にわたって転換する)の華やかな舞踊である。曽我ものとは、鎌倉時代、曽我十郎祐成(そがのじゅうろうすけなり)と五郎時致(ごろうときむね)の兄弟が、源頼朝が行った富士の裾野の巻狩に乗じ、父・敵工藤祐経(くどうすけつね)を討った仇討(あだうち)の物語を題材とした作品のことをいう。たいへんな人気を呼び、江戸の正月、それぞれの芝居小屋では、必ず新作の曽我ものを上演する慣わしがあった。本図は1893(明治26)年1月の初演で、同年に没した河竹黙阿弥の絶筆となった。