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作品の表題
戻橋恋の角文字(もどりばしこいのつのもじ)
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役名
扇折早(小)百合 (おうぎおりさゆり)
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コマ絵
初世 市川左團次の 渡辺綱
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俳諧
おとしまや よごとにわたるも もどりばし
(落としまや 夜毎に臱<わたる>も もどりばし)
解説
河竹黙阿弥作の舞踊劇。尾上菊五郎家の「家の芸」を集めた「新古演劇十種」の一つ。『戻橋』として知られ、本図はその初演である。京の初夏の夜。洛中に悪鬼が現れて人を食い殺すという噂が流れて、人通りはまったくない。渡辺綱が二人の供とともに一条戻橋にさしかかると、扇売りの美女・小(早)百合が現れる。綱は、水に映った影で、この女が鬼女であることを見破る。綱の所望により、小百合は舞を見せ、色仕掛けで迫るが、正体を顕す。立ち廻りの末、鬼は右腕を斬り落とされて、天空へと飛び去っていく。ここに描かれた小百合は「驚く程美しくさらりとして色味も十分含み」と絶賛されている(『続続歌舞伎年代記』)。