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作品の表題
於岩稲荷験玉櫛 (おいわいなりしゅうのたまぐし)
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役名
四ッ谷 お岩
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コマ絵
四世 中村芝翫の 民谷伊右衛門
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俳諧
結び苧の細きえにしや●<かや>の紐
むすびおの ほそきえにしや かやのひも
解説
お岩の名とともに怪談劇の傑作と知られる作品で、幽霊に関わる数々のトリックが見せ場だが、江戸末期の下層社会に生きる人々のリアルな描写もまた見どころ。三代目菊五郎の初演以来、家の芸となっている。お岩は産後の肥立ちが悪く病気がち。そこへ隣の伊藤家から見舞いの薬が届けられるが、実は顔が醜くなる毒薬であった。伊藤家の孫娘がお岩の夫・伊右衛門に惚れているため、孫かわいさに、お岩を醜くして別れさせようとしたのだった。お岩と離縁したい伊右衛門はその面体が醜く変わったのを見て、家を出る決意をする。本図は、質に入れようと蚊帳を奪おうとする伊右衛門と、幼子のために残して欲しいとすがりつきズルズルと引きずられるお岩を描いている。