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作品の表題
天衣紛上野初花<雪暮夜入谷畦道> くもにまごううえののはつはな<ゆきのゆうべいりやのあぜみち>
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役名
直侍(片岡直次郎)
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コマ絵
八世 岩井半四郎の 三千歳(大口抱三千歳)
解説
河竹黙阿弥の傑作で、通称「直侍(なおざむらい)」と呼ばれる。雪の降り積もる夜。入谷の蕎麦屋にやって来たのは、御家人崩れの片岡直次郎。悪事を重ね追われる身となった直次郎は、江戸を離れる前に恋仲の三千歳(みちとせ)にひと目逢おうと身を潜めている。按摩の丈賀の話を聞き、直次郎は三千歳のもとへ向かうが、直次郎は共に悪事を働いた前科者の暗闇の丑松(うしまつ)に呼び止められる。共にお尋ね者の身、江戸にはいられない二人は互いの無事を祈って別れるが……。江戸の蕎麦屋の風情が垣間見える前半から、清元の名曲に乗せて描かれる粋な小悪党・直次郎と傾城・三千歳の艶やかな色模様が描かれる後半まで、みどころの多い人気作品である。